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2016/10/22

村上春樹氏とおすすめの作品

先日はノーベル文学賞の発表がありました。今年はなんと『ボブ・ディラン』が受賞し、世界的にも話題になりました。

村上春樹さんは毎年候補として挙がっていますが、受賞にはいたっていません。本人もノーベル賞を“脳減る賞”と揶揄していたり、あまり関心がないようですね(笑)

村上作品といえば、熱狂的なファン“ハルキスト”がいるのに対して、正直苦手だっていう人も多いのが特徴です。

または読まず嫌いって場合も多い気がします。なので今回はおすすめの読みやすいと思う村上作品をご紹介したいと思います。

そもそも村上春樹ってどんな人?

村上春樹とはどんな人か

まずは簡単に村上春樹さんのプロフィールをご紹介します。1949年の京都生まれで、育ったのは兵庫県の西宮市・芦屋市だそうです。ご両親はどちらも国語教師をしていて、それが自身の読書をするきっかけにもなりました。

早稲田大学の映画演劇科に入学するも、授業にはあまり出席せず、レコード屋でアルバイトをしながらジャズ喫茶に入り浸るように。

大学在学中に国分寺のビルの地下でジャズ喫茶「ピーターキャット」を開店し、村上さん自らお酒を作ったりお客さんと会話することもあったそうです。(後日談ですが、そのときのお客さんから春樹さんはすごく無愛想だったね!と言われてしまった)

経営状態は厳しいもので、そんなときに書いたのがデビュー作『風の歌を聴け』です。毎晩ジャズ喫茶の仕事の傍ら、深夜にキッチンテーブルで書いていたものでした。それが第22回群像新人賞を受賞し、作家デビューを果たします。

二作目の『1973年のピンボール』でも芥川賞を受賞し、1981年専業作家になることを決意し、お店を人に譲ります。

1986年以降はヨーロッパに移住し、『ノルウェイの森』が上下430万部となるベストセラーとなりました。その後も海外で客員教授をしたりしながら作品を執筆し続け、現在では日本だけでなく国境を越えて作品が読まれています。

海外ではサイン会をすることもあるそうです。年齢は今年67歳。文章を読んでいるともっと若いイメージがあったので意外でした。

マラソンが趣味でトライアスロンにもよく参加しています。小説を書くことは体力勝負なところもあるので、身体を鍛えるのは大切な習慣だそうです。

自身の小説執筆だけではなく、翻訳活動にも積極的です。2006年には、最も影響を受けた小説と語っていた『グレート・ギャツビー』の翻訳もしました。

淡々とした日常にあるこだわり『サラダ好きのライオン』

サラダ好きのライオン

2012年雑誌ananとGINZAに掲載された文章をまとめたエッセイです。村上春樹といえば小説!というイメージがあるのでエッセイから入ってみるのもいいかと思います。

内容はとてもシンプルで劇的な出来事は何も起こりません。ですが随所に日常をきちんと生きてる人の丁寧さとか、あるいは「え!?そんなこと考えてるの!?」という意外な一面が表れていて面白いです。

村上さんの文章の特徴というか、読んでいて感じるのは、“食べ物の描写がいつもとっても美味しそう”ということですね(笑)

本書でもオムレツの作り方のこだわりやお気に入りのサラダについて書かれています。マラソンしておいしいものを食べて読んでるだけでちょっと健康になる気がしますね。

オチなしのシュールなショートショート集『夜のくもざる』

夜のくもざる

“ショートショート”というのは、その名の通り短編小説より更に短い文章のことを指します。表紙と挿絵を担当されたのはイラストレーターの安西水丸さんです。

絶妙なゆるさとモダンな色使いが村上さんの文章にぴったりだと思います。特に印象に残っているのは「ビール」というタイトルの文章で、普段は貴族の血をひいてるなどと噂されるほど上品な女性編集者が、休日はビールを飲んで豹変している(それが本来の彼女?)といった内容なのですが、すごく笑いました。

村上さんの文章って“おしゃれ”とか“気取ってる”といったイメージの方もいるかもしれませんが、すごく笑える部分も多いんですよね。ひとつひとつがすごく短いので電車の中や休み時間で気軽に読めます。

『そうだ、村上さんに聞いてみよう 世間の人々が村上春樹にとりあえずぶつける282の質問に村上さんはちゃんと答えられるのか?』

素朴な疑問

村上朝日堂というホームページに寄せられたありとあらゆる質問(村上さんへの質問から、人生・恋愛相談、そうでもない謎の報告など)に村上さんがひたすら答えていくという本です。

村上さんはメディアにはほとんど露出しませんが、ネットに挙がっている読者の意見は全部読むらしいです。この質問集でも非常に真面目に、そして独特のユーモアを持って読者の質問に答えています。

挿絵は安西水丸さんが担当されていて、シュールな感じで面白いです。この質問集は続編が3冊以上出ているのですが、全てに共通してるのが”全裸主婦”の報告です。

全裸主婦というのは家で家事をするときに服を着ない主婦の方を言うのですが、最初はちょっとびっくりしましたがけっこういるみたいで全巻で生息を確認しています(笑)

こういった変わった報告にも村上さんはさらっと答えられていて、例えば「私もいつも家の中でパンティー1枚で過ごしています。これも全裸主婦ですよね?」という質問に対しては「全裸主婦というのは、何も身に着けてない状態で家にいる主婦を指します。パンティーを脱いで出直してきてください」と回答されています(笑)

変わった質問から誰もが抱える悩みについてのアドバイスなど読んでいて飽きない一冊です。

純粋な恋愛小説『ノルウェイの森』

ノルウェイの森

最後は村上さんの本領発揮といいますか、長編小説を紹介したいと思います。村上さんの長編の中で、おそらく一番読みやすいのではないかなと思ったのがこの作品です。主演松山ケンイチさん、菊地凛子さんで映画化もされました。

37歳の僕はハンブルク空港に到着した飛行機の中で『ノルウェイの森』を聴き、激しい混乱を覚える。そして学生時代のことを思い出した。

僕とキズキは親友で、よくキズキのガールフレンドの直子と3人で出かけた。しかし高校3年の5月、キズキは自殺してしまった…。

それから僕は大学生になり、地元の神戸から東京の大学に進学した。そこで偶然にもキズキの恋人、直子と再会する。直子と僕は次第に親密な関係になるが、直子はキズキの死によって激しく心を病んでいた…。

この作品には様々な女性キャラクターが出てくるのですが、みんなそれぞれ個性的で素敵です。村上さんは魅力的な女性を描くのが上手いと思います。

全体の雰囲気はタイトルになってるビートルズの『ノルウェイの森』が流れているような静かな世界です。でも個々人の中にある葛藤や忘れられない思い、そういうところがよく描かれていて共感したり切なくなったりします。

誰もが10代後半から20代にかけて、もがき苦しむ時期があると思います。そんなときを思い出せる小説がこの『ノルウェイの森』ではないでしょうか。今苦しんでる人、もしくはかつてそんな時間を過ごした人にぜひ手に取っていただきたいです。

まとめ

今回は読みやすい作品、4冊をご紹介してみました。他にも素晴らしい作品がたくさんあるので、まずは自分が読みやすいところから挑戦していってはいかがでしょうか。

村上さんはいつも新しい要素を小説で提示してくれるのでこれからどんな作品が出るのか、とても楽しみですね。

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