10月に入り、ぐっと寒くなり秋らしくなってきました。
秋になると胸がスーンとして、なんだか切ない気持ちになるのはなぜなのでしょうか。
まさか病気じゃないよね…?w
今回はそんな気持ちにぴったりな映画をご紹介します(笑)
誰かのことを想って、おもいきり泣いてあげること『ハッピーエンドが書けるまで』

3年前に離婚した作家のビル・ボーゲンズは、別れた妻のことが忘れられず、彼女の家をこっそりのぞいている。
娘のサマンサは父親を捨てた母親のことを憎み、1年以上口をきいていない。
愛を信じない彼女は恋人も必要ないと言う。今度作家としてデビューすることになった。
弟のラスティは父や姉と同じように作家を目指しているが、まだ書くべきことが見つからないでいた。
ある日、サマンサがバーに行くと同じ大学の青年・ルイスに声をかけられる。次第に打ち解けていく二人だが、ルイスの穏やかな愛情にサマンサは困惑する。
ラスティは授業で詩を発表した。同じクラスにいるケイトを想って書いた詩だ。
それがきっかけで彼女と話すようになる。
愛を失ったビル、愛を信じないサマンサ、まだ愛を知らないラスティ、三人は新たな道へと進んでいく…
『きっと、星のせいじゃない』で有名になったジョシュ・ブーン監督のデビュー作。
三人とも方向は違うけど、とてもピュアな気持ちを持っていて観ていて切なくてきゅんとします。
音楽が素晴らしく、繊細な世界観を盛り上げてくれます(ネクストボブ・ディランと呼ばれるコナー・オバーストやエリオット・スミスらが参加)
愛がテーマになっている作品なのですが、とくにラスティがケイトを思って、号泣したときがヤバいです。
ケイトは以前からドラッグ中毒の傾向があり、ラスティといる間は自分でも抑えていたのですが、パーティーでお酒が入った勢いでまたドラッグを使用してしまいます。
お酒とドラッグで意識朦朧でぐったりした状態のケイトを抱いてラスティは泣きます。
自分のことを思って泣くことは誰でもあるでしょう。でも誰かのことを思って本気で泣くってそうそうないことだと思います(まだ高校生だったらなおさらです)
その後、依存症を治すために更生施設へ入るケイトですが、ラスティは手紙を送り、クリスマスの食事にも招待します。
そういった過去があっても突き放さないところが強いです。
全体として物語はゆるやかに進み、観ていて心地よいです。切ないけど最後には温かい気持ちになれる映画です!
彼女たちを通して見た僕たちの世界『ヴァージン・スーサイズ』

1970年代のミシガン州、数学教師のリズボンにはラックス、ボニー、メアリー、テレサ、そしてセシリアという美しい5人姉妹がいた。
彼女たちは近隣の少年たちの憧れでいつも謎に満ちていた。
物語は末っ子のセシリア(13歳)が手首を切って自殺を図ることから始まる…。
透明感のある映像とどこか切ないストーリーが特徴的なソフィア・コッポラ初監督作品。
物語はリズボン家の近くに住む少年たち(僕たち)の視点で進んでいきます。
さすがソフィア・コッポラの作品だけあって、女の子を撮るのが抜群に上手いです(それだけで見る価値があると言っても過言ではない)
印象に残る出だしだったのが、末っ子のセシリアが自殺未遂でカウンセリングにかかるときのやりとり。
「なぜこんなことを?人生のつらさも知らない若さで」と先生。
それに対してセシリアは「先生は13歳の女の子じゃないもの」と先生を真っすぐ見つめて答えます。
確かにセシリアはかなり感じやすい女の子であることは確かですが、13歳で美しい容姿に生まれて、しかも女の子であることはなかなかヘビーなことだと思うんです(周りからはいろんなことを期待されるし、もう子どもでもないからそれを無視することも難しい)
映画の前半はセシリアを中心に物語は進みますが、後半からは14歳のラックスの話へ。
ラックスを演じるのは『マリー・アントワネット』でマリー・アントワネット役を務めたキルティン・ダンスト。
とにかくこの人の目力がすごい。このラックスという役は誰とでも寝てしまう女の子なんですが(かと言って頭が悪いわけではない)その空虚感とか乾いた感じが彼女の瞳からすごく伝わってくるんですね。
セシリアの自殺から彼女たちはどう変わっていくのか、そして僕たちはそんな彼女たちを見つめてどう成長していくのか。
人生は吐息、人生はため息。そのため息をつかむのだよ『チキンとプラム~あるバイオリン弾き、最後の夢』

1958年テヘラン、著名なバイオリニストであるナセル・アリ・カーンは絶望していた。
理由は命より大事なバイオリンを妻ファランギースに壊されたからだ。、バイオリンを求めて各地を訪れるが、結局納得できるものは見つからなかった。
そしてナセル・アリは自殺することを決意する。
彼は部屋に閉じこもり、食事もとらず今までの人生について振り返っていた。死ぬ間際考えるのは娘リリと息子キュロス、そして妻ファランギースのこと。
でも一番心残りになっているのは叶わぬことのなかったイラーヌとの恋だった…。
フランス・ドイツ・ベルギー合作のファンタジー映画です。原作はイラン出身の女性アーティスト、マルジャン・サトラピのコミック『鶏のプラム煮』
舞台はイランなのですが、セリフはフランス語、映画もフランス映画風なので不思議な感じ!
主人公のナセル・アリ、かなりクセが強いw妻ファランギースにも「お前のことを愛したことは一度もない!頭に叩き込んでおけ!」と言い放ちます。
バイオリン壊されても仕方ないです。
タイトルの前に書いた“人生は吐息、人生はため息、そのため息をつかむのだよ”というのはナセル・アリのバイオリンの師匠が言った言葉。
ナセル・アリは完璧なテクニックを持っていましたが、それだけでした。人の心を震わすようなものを持っていなかったのです。
そんなとき出会ったのがイラーヌでした。
二人は親の反対を受け、別れてしまうのですがイラーヌとの失恋を経て、ナセル・アリは音楽家として成長します。
またここで師匠が「君の恋は失くしたことによって永遠の命を得たんだ」と名台詞を言ってくれます。
終わってしまったものは良くも悪くも、何も変わらないでそこに存在するということだと思います。
ナセル・アリは演奏するごとにイラーヌとのことを思い出します。
だからバイオリンを壊されたときブチ切れたんですね。このバイオリンにはイラーヌとの思い出がたくさん詰まっていたから。
映像は色が鮮やかで話は対照的にけっこう暗いです。
ちなみにタイトルがチキンのプラム煮なのは、この料理がナセル・アリの大好物で、自殺しようとして何も食べない夫にファランギースが心をこめて作った最後の料理だったからです。
ファランギースはナセル・アリのことを本気で愛していました(それを上手く表すことはできなかったかもしれないけど)
ファランギースの精いっぱいの愛情表現も伝わらず「食べたくないって言ってるだろ!」と突っ返されますが(泣)
この映画を観て感じたのは、結ばれなくても、かつてとても愛した人がいたという事実が人の心を温めるんじゃないかなあということでした。
思い出は永遠。
まとめ
ちょっと切ない気分になる映画を3本厳選してご紹介しました。やはり切ない映画には恋愛が絡んでくることが多いです。
3本に共通するのは出演する女の子がとても可愛いということ!w
ちょっとクールな女の子サマンサ(ハッピーエンドが書けるまで)、儚げな5人姉妹(ヴァージン・スーサイズ)、クラシカルで上品な正統派美女イラーヌ(チキンとプラム)
ぜひその点にも注目してみてください