トップへ戻る
2017/01/01

変った雰囲気の映画集

今回は不思議な作品を集めてみました!固定概念にとらわれず、自由な気持ちで観てください。

深夜はゆっくりと時間が流れる『フローズン・タイム』

フローズン・タイム

失恋のショックで不眠症になった美大生のベンは、スーパーの深夜アルバイトを始める。昼間とは違ってゆっくりと流れる時間の中で、思い思いの過ごし方をする他の店員たち。

決して時計は見ないシャロン、スクーターで仕事をするバリー、バリーと仲がいいお調子者のマックス、そして新人のブライアンはカンフーにはまっている。

ベンはどうしたら時間を早められるのか(自分の感覚として)を考え、ついに時を凍らせることに成功する。そして凍りついた時間の中で、かつて自分が初めてヌードを見た日のことを思い出す…

2006年のイギリス映画でVOGUEなどで活躍する写真家ショーン・エリスが監督をつとめた作品です。

まさにこの映画はアート作品。絵を描く人なら誰しも魅力的なモデルを見つけると”そのまま止まってて!”と思うことはあるのではないでしょうか。

凍りついた時間の中で美大生のベンは自由に女性をスケッチします。演者たちが一瞬にして止まる、時間が凍りつくシーンはとても美しいです。

一枚の美しい写真を観ているようでした。この映画で知ったことは英語で”夢中”と”失望”は同じ『クラッシュ(crush)』という単語だということ。

『恋に堕ちる』を英語でCrush on youと言ったりしますよね。

主人公のベンは彼女に夢中になって、でも失望されて振られます。恋をすると『この時間を永遠にしてほしい』とか『もっと一緒にいたい』とか思うことがあると思います。

アーティストはその気持ちを絵にしたり、写真に撮ったりしてその瞬間を凍らせてしまうんですね。そう考えればベンが時を止めることに成功したという描写もすんなり受け入れることができました。

ぜひ深夜に観ていただきたいおすすめの映画です。

もし弟がリアルドールを彼女として紹介してきたら?『ラースとその彼女』

ラースとその彼女

アメリカの田舎町に住むラースは好青年だが彼女はいない。女性からアプローチされてもなぜか全て断っている。

そんなラースを見て兄夫婦(特に妻のカリンは)とても心配していた。ある日、ラースが恋人を夕食に招いていいかと兄のガスに相談する。

その知らせを聞いて舞い上がったカリンだったが、なんとラースが連れてきたのは等身大のリアルドールだった。

ラースはリアルドールの彼女”ビアンカ”について二人に語って聞かせた。

ビアンカはブラジルとデンマークのハーフで宣教師(そして看護婦の資格も持っている)、そしてとても信心深い性格で結婚するまで性的な関係は持たないこと。

困惑したガスとカリンだったが、とりあえず落ち着いてラースに話を合わせることにする。

そして次の日に病院に行って診察を受けたのだが、担当の医師に”そのまま話を合わせ続けること”と言われてしまう。

ガスとカリン、そしてラースとビアンカの不思議な生活が始まった…。

みなさんはリアルドールというものを知っていますか?リアルドールとは主にアダルト店で取り扱われている商品で見た目は実際の女性に近く、セックスをするための性器もついています。

ラースはそのリアルドールの彼女”ビアンカ”を夕食の席に座らせ、デートに行き、そして教会のミサにも連れていきます。

実際の女性に近いと言っても、明らかに人形と分かるレベルです。ラースを見てガスとカリンのように困惑する人々でしたが、小さな田舎町で話し合いが行われた結果、医師の診断通り、話を合わせようということになります。

最初はぎこちなかった住民の態度も徐々に、変わり、ビアンカを病院のボランティアに推薦したり(子どもたちが見ると喜ぶので)、ショッピングモールでマネキンのアルバイトを頼んだり、ビアンカは町の人気者になります。

こういう描写をずっと観ていると、本当にビアンカが実際の女性に見えてきてそれがとても不思議でした!

そしてビアンカの受け入れと共に、見えてきたのがラースの心の問題。初めてビアンカを連れて診察に行って以来、”ビアンカのための特別診療”という体で続けられたラースのカウンセリング。

そこで発覚したのが、ラースが”触られることを極端に恐れている”ということでした。(体に触られると激しい痛みを感じて、身を引いてしまう)そして”出産”をとても恐れているということ。(ラースの母親はラースを産んですぐ亡くなりました。)

ラースがビアンカを連れてきたときガスの妻・カリンは妊娠していてとてもお腹が大きい状態でした。

ビアンカの存在がラース、そして町の人々にどんな影響をあたえるのか、この恋に結末はあるのか、ぜひ映画を見て確認してください。

容疑者リザ。30歳。独身。歌う幽霊と同居中?!『リザとキツネと恋する死者たち』

リザとキツネと恋する死者たち

舞台は1970年代のブダペスト。元日本大使未亡人・マルタ田中の看護人として住み込みで働くリザの心のよりどころはマルタ田中からもらった日本の恋愛小説とリザだけに見える日本人歌手・トニー谷の幽霊。

30歳の誕生日、リザは2時間だけ暇をもらい、もらった恋愛小説のように運命の出会いをすることを待ちわびながらメックバーガーに出かける。

しかし、帰ってくるとマルタ田中は何者かに殺されていた。リザは未亡人殺しの容疑者となり、警察で尋問されることになった。まったく心あたりのないリザだったが、その日を境に、リザに関わる男たちが次々と不審な死を遂げていく…。

ハンガリーの売れっ子CMディレクター、ウッイ・メーサロシュ・カーロイが日本の那須を訪れた際、美しい絶世の美女に化けた狐に魅了された男が次々と死んでいくという伝説を知り、そこからインスピレーションを得てできたのが初監督作品である本作。

映画の端々にジャポニズム的な要素が含まれており、日本×ハンガリーの不思議なコラボレーションがクセになります。所々に挟まれるトニー谷とリザによる日本の昭和歌謡のような音楽が楽しいです。

謎の幽霊・トニー谷は何者なのか、リザが幸せになれる日は訪れるのか最後まで目が離せない作品です。

やさしい世界、でもどこかズレてしまっている人々『ミスター・ロンリー』

ミスター・ロンリー

大道芸人のマイケルはパリでマイケル・ジャクソンのものまねをしながら、生活をしている。生活は厳しくなる一方だが、生まれたときからマイケルのものまねをすることでしか生きられない。

そんなある日、仕事でマリリン・モンローのものまねをしている女性に出会う。彼女もマイケルと同じようにマリリンのものまねをしなければ生きていけない人間だった。

彼女はスコットランドの古城に二人と同じような人間が集まって暮らしていることをマイケルに話し、ぜひ来るようにと招待した。

マイケルは彼女の招待を受け、スコットランドまで出向く。そこには彼女の夫(チャップリンのものまねをしている)と娘(シャーリー・テンプル)など数人のものまね芸人が共同生活をしていた。

話によると、ステージを作っている最中で完成したら街の人を呼んでショーをやるという。古城での日々はとても穏やかだが、少しずつ歯車がずれていく…。

観ていてとても胸が痛くなるような映画でした。主人公のマイケルの話の他に、ジャングルで布教活動をするシスターたちの話が同時進行で進められます。

小型飛行機から食料を落として、支援をするシスターたちでしたが、ある時一人のシスターが飛行機から落下してしまいます。最後の瞬間まで神に祈っていたシスターが、なんと奇跡的に助かってしまいます。

そして助かったシスターは”これは神の奇跡です。みなさんも私と同じように奇跡を起こして神の存在を証明しましょう。”と仲間のシスターたちに訴えます。

そしてシスターたちは次々と飛行機から落ちていきます…みんな笑顔です…。青い僧服に包まれたシスターたちがダイブする姿の美しいこと。

この映画に出てくる人はみんなピュアで優しい人々です。でもみんなどこか破綻している気がしました。

誰かになりきることでしか生きていけない古城の人々、飛行機から落ちることで奇跡を証明しようとするシスター、とても儚げで美しいけれど寂しい気持ちになります。

静かな気持ちになりたいときにおすすめの映画です。

まとめ

生きていると、周りとは違っていたり奇妙に見えるような人々に出会うことがあります。でもどうしてそうなったのか、案外気持ちの深い部分では私たちとそう変わらないのかもしれません。

誰しもが抱える孤独や人を愛したい、愛されたいと思う気持ちはいろいろな形となって表れます。できたらそういう人々を怖がるのではなく、そっと遠くから見守れたらいいですね。

⇒こんな感じの他の記事みる?