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2016/11/24

リリーの全て

2015年にイギリス、アメリカ、ドイツで製作され、監督は『英国王のスピーチ』『レ・ミゼラブル』などアカデミー賞作品を手掛けているトム・フーパー監督が務めました。

主演のリリー役を演じるのは『マリリン・七日間の恋』『博士と彼女のセオリー』などで今、話題の実力派俳優として知られるエディ・レッドメイン

原作は『The Danish Girl』(邦題:『世界で初めて女性に変身した男と、その妻の愛の物語』)という伝記です。

映画では忠実から脚色されており、結末が異なります(それでも素晴らしいことは間違いないのですが!)

ストーリー

リリーの全てのストーリー

1926年、デンマークの首都コペンハーゲン。肖像画家ゲルダ・ヴェイナーは風景画家の夫アイナーと暮らしていた。同じ画家でもゲルダはまだ評価はされておらず、画家としての名声はアイナーに及ばなかった。

ある日、ゲルダの絵のモデル(女性ダンサー)が急用で遅れることになり、アイナーに冗談でドレスを身体にあてさせ、トウシューズを履かせる。

そして女装姿のアイナーを”リリー”と名付けた。

あまりにも違和感がないその姿に興奮したゲルダは、アイナーを女装姿のままパーティーに連れていくことにする。

最初は恥ずかしがっていたアイナーだったが、徐々に女性として振る舞うことに慣れ、男性から声もかけられ、そしてついにはキスされてしまう。

それを見たゲルダはもう女装はしないでと言うのだが、アイナーの中で眠っていた女性の自分はもう抑えられなくなっていた…

装うことの愉しさ 服装だけでなく、身のこなしまで女性らしく

女性として装うことの愉しさと快感

この映画でまず注目してほしいのが劇中の衣装。今回の作品で衣装を担当したパコ・デルガドは第18回衣装デザイン組合賞の時代劇部門を受賞しました。

アイナーが”リリー”になるきっかけを作ったのもモデル用の衣装だったバレリーナのコスチュームです。”リリー”でいる時間が長くなるほどに服装はより女性らしく、そしてナチュラルになります。

リリーはより女性に近づく

リリーはより女性に近づくため、街にいる女性たちの仕草や立ち居振る舞いを研究します。最初はぎこちなかったリリーも映画の後半になると、どの女性よりも色っぽく優雅に見えます。

この映画を観ていると装うことの愉しさや女性らしくあることがどんなに素晴らしいことかを再認識することができると多くの声が上がっています。

1920年代といえば、 ココ・シャネルやジャン・パトゥの才能が花開いたファッションの転換期でもあります。

それまではコルセットでウエストを絞り、大きく裾をふくらませたドレススタイルが流行していましたが、この時代からは、もっと着ていて心地よく、動きやすいスタイルが台頭しました。

ドレスの裾は膝丈になり、ウエストを絞らない直線的なデザインが増え、それらはフラッパー・ルック(おてんば娘の意)と呼ばれました。

劇中で出てくるリリー、ゲルダの衣装は当時流行していたアール・デコ(直線や幾何学的模様)をスパンコールであしらったものなどが多く、観ていてとても華やかです。

これほどの愛に私は値しない

リリーの一番の理解者であり、妻であるゲルダの愛が泣ける!もしあなたに旦那様、もしくは恋人がいてある日突然「女性として生きたい」と言われたら、どうしますか?

アイナーは”リリー”という女性の部分を生まれた頃から持っていましたが、ゲルダとの結婚はとても上手くいっていました。

リリーとなってからは自分のことを女性としか思えないので、セックスはなし。(アイナーはゲルダのために努力しますが、身体がどうしても受け付けませんでした)

女性となったアイナー(リリー)が他の男性と仲睦まじく歩く姿を目撃したりと、ゲルダの孤独はとても深いものであったのではないかと推察します。

リリーを解放するきっかけとなったのが、他でもないゲルダ自身であったことも彼女を苦しめる要因になりました。

劇中でも「あのときモデルを頼まなかったら…」と話しています。それでもアイナーがリリーであるため、幸せになるために彼女は全力でサポートします。

リリーになってからのアイナーはまったく絵が描けなくなってしまったので、収入源は主にゲルダの絵。まだ不安定なリリーの話を聴いたり、心の支えになればとアイナーの昔の親友であるハンスも呼び寄せます。

これほどまでに人を愛することができるのは、もうひとつの才能と言っていいと思います。この映画はアイナーがリリーとして生きようとする物語であり、それを支えるゲルダの物語でもあるのです。

おわりに

この映画を観て、ストーリー、映像の美しさ、役者さんたちの演技、全てにおいてとても素晴らしい映画だったと思いました。

本作で主人公アイナー・ヴェイナー(リリー)を演じたエディ・レッドメインは2016年11月23日から公開の『ファンタスティック・ビーストと魔法使いの旅』の主役も務めています。

ハリー・ポッターシリーズの新作としても話題の映画で、どんな演技を魅せてくれるのか期待です。

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