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2016/11/13

しあわせになれる映画

近年、日本でもうつ病や発達障害など今まででは受け入れられていなかった病気や障害が知られるようになりました。

しかし、まだまだ私たちが知らない症状や現実があるのも事実です。今回は、本人にしかわからない苦悩、またその身近にいる人々が抱える想いを扱った作品を紹介します。

ネガティブではなく、スーパー丁寧『発達障害の僕が輝ける場所をみつけられた理由』栗原類

発達障害の僕が輝ける場所をみつけられた理由

17歳のときにフジテレビ系の『アウト×デラックス』などで”ネガティブタレント”としてブレイクした栗原類さんのエッセイ本です。

栗原さんは8歳のときにNYで発達障害と診断されました。

主な症状は興味のあること以外は何でもすぐに忘れてしまう(逆に好きなことには異常なほどのめり込む)、他人の表情を読み取るのが難しい、計画性を持って行動するのが難しいなど芸能人として活躍するにはどれも大変な内容です。

このエッセイでは、いかにそんな症状と付き合いつつ栗原さんが生活・お仕事をしているか、また発達障害を抱える人の周りにはどんなサポートが必要かが、とてもわかりやすく書いてあります。

(栗原さんはほとんど幼少期の記憶がないので、母親の泉さんと話しながら一年間にわたって執筆したそうです。)

印象的なエピソードは、栗原さんが子どものとき観た『ファインディング・ニモ』の話で、当時栗原さんはとても楽しく映画を観ていたそうです。

特にニモと一緒に旅をする重度の忘れん坊のドリーが好きで「ドリーってなんでもすぐ忘れちゃうんだね、すごくおかしくて面白いね」と母親の泉さんに話したところ、「アンタもそうだよ」と言われ、そこで自分が発達障害であることを少し自覚したようです。

母親の泉さんは類さんが発達障害であることを話す機会を少し迷っていたそうです。(幼い頃に自分が発達障害であることを知って傷ついたり、理解できない場合も多いため)

しかし、ドリーというポジティブで楽しいイメージをきっかけとして、そのとき類さんに発達障害のことを説明することを決めたのでした。

それ以来、発達障害のことを説明するときは”ドリー”というキーワードを使ったそうです。発達障害を抱える人は自分の興味のある分野だと記憶がしやすかったりする場合が多いのでこれはとても効果的な方法でした。

ゲームやアニメーションなど大人からはあまり歓迎されない分野でも柔軟な取り入れ方をすることによって、とても大きなことを学べる場合もあるのです。

のんびりあせらずにいきましょう『ツレがうつになりまして。』細川貂々

ツレがうつになりまして。

宮崎あおいさん、堺雅人さん主演で映画化もされたエッセイ本/映画です。作者の細川さんの旦那様、通称”ツレ”がある日突然うつになってしまいます。

(実はその前に初期症状があったが、細川さんはあまり気にしていなかったそうです)

かなりのオーバーワークをしていたツレが、会社を辞めてから(辞めるまでにも、けっこう時間がかかります)、自宅療養、そして徐々に回復していった様子をコミカルに描いています。

実際はきっと大変なこともあったと思いますが、細川さんのゆるいイラストと前向きな視点のおかげで、とても読みやすいエッセイとなっています。

このエッセイを読んでいて感じたのは、自分と近しい間柄の人がうつ病になっても、それに流されずに自分を保つこと、ある意味能天気でいることがとても大切だということでした。

(かといって、病気になった本人への気遣いは忘れてはいけませんが)

細川さんから見てうつ病になる前のツレは頑固で自分が決めたルールは絶対に曲げないという少し融通が効かない人だったそうです。

しかし、病気になって、それが回復してくるにつれてそういった部分が少し柔らかくなったと語っています。

もちろんうつ病になることは本人にとっても、家族にとっても大変なことですが失うことばかりではないということです。辛い経験もたくさんするでしょうが、その分きっと学べることがあるはずです。

文庫本の後書きに細川さんが書いてある言葉ですが、
『うつ病は後ろめたい病気でもなんでもなく、誰でもなる病気です。治療すればちゃんと治ります。もし病気になってしまったとしても、”人生の夏休み”と思ってゆっくり休養してください。その時間は自分と向き合える貴重な時間でもあるのです。』

磁石と同じ。正反対だからひかれあう『シンプル・シモン』

シンプル・シモン

アスペルガー症候群をかかえるシモンは家族とそりが合わず、兄のサムの家に引っ越すことにした。サムは恋人のフリーダと同棲していて、二人の生活はシモンを中心に回り始める。

最初は順調にいっていた共同生活だが、サムとフリーダがセックスしてるときもお構いなしに話しかけてくるシモンにフリーダの怒りが爆発。とうとうフリーダは家を出て行ってしまった。

サムは仕方がないと口では言うが、フリーダが出て行ったことでかなり落ち込んでいた。そのことでシモンが作った生活リズムが少しずつ狂い始める。

何よりも変化を嫌うシモンはフリーダに帰ってきてとお願いするが、「それじゃあ、あんたの生活に合わせてくれるバカ女を探せば?」と言われてしまう。

その言葉を真に受けたシモンはフリーダの代わりとなるサムの新しい恋人探しを始める…。

アスペルガー症候群は乳幼児期から表れる広汎性発達障害の一種で、言語や認知の発達には問題がないが、社会性が欠如していて対人関係やコミュニケーションがうまくとれないなどの特徴があります。

他にも特定の習慣や興味に関して強いこだわりがあって、それを妨げられると不安定になったりすることもあります。

この映画でもそれがよく描かれていて、例えばシモンは常に時計を肌身離さず持っていて、一日の行動を秒単位で気にします。好きな色は赤と青、だから毎日同じ色の服を着て、形は丸が好きなので食事は全て丸形に切り抜かれています。

他にシモンが好きなのは宇宙に関すること。劇中でも宇宙がよく出てきます。例えばシモンはなにか自分の上手くいかないことが起きるとスペースシャトルという設定でドラム缶の中に閉じこもってしまいます。

宇宙に関すること、物理学、数学などに関しては天才的で何事も細かく計算して方程式をつくることができます。

バスケットボールをするときもあのゴールに入れるためには、この角度でこのボールを投げれば入るとか)なのでサムの恋人探しをするときも12の質問を作り、それがあてはまる女性なら完璧な恋人になれると信じて行動しています。

映画全体の色使いがとてもポップで観ていて楽しいです。アスペルガー症候群をとてもユニークな形でとらえていて観終わる頃にはシモンを好きになっていること間違いなしです。

この映画はスウェーデンの監督・スタッフによって製作された作品なのですが、とても新鮮でした。アメリカ映画でもないフランス映画でもない独特の空気感があってとても良いです。純粋な恋愛映画としても楽しめるのでおすすめです。

ぼくたちはどこにいくのか『ギルバート・グレイプ』

ギルバートブレイク

生まれ育ったアイオワ州から一度も出たことのないギルバート。

弟のアーニーは重度の知的障害を抱えていて、常に一緒にいなければいけない状態。(よく鉄塔に上って警察のお世話になる)だがギルバートはアーニーを心から愛していて、誰も彼をいじめないようにいつもかばってやっていた。

家に帰って待っているのはしっかり者の姉エイミーと、少し反抗期の妹エレン、そしてかなりの肥満でもう一人で歩くのも難しい母親のボニー。

昔はとても美人で陽気だった母だが、夫の突然の自殺をきっかけに暗くふさぎこむようになっていた。

ギルバートが勤めているのは町の小さな食料品店。郊外にある大型スーパーの影響でかなり経営状態は悪いが、店のオーナー夫妻は精いっぱい努力をしていた。

ギルバートはよく宅配を頼まれることが多く、お得意様の人妻・ベティとは宅配ついでに情事になることもしばしば。

ある日、ギルバートの家の近くで旅行中のトレーラーが故障する。トレーラーの持ち主は年配の女性とその孫ベッキー。

ベッキーを一目見て惹かれたギルバートだったが、弟のアーニーのことやベティとの関係などがあり、思うように関係は進まない…。

1994年公開のアメリカ映画で重度の知的障害の弟を少年時代のレオナルド・ディカプリオ、その兄である主人公をジョニー・デップが演じています。

今では二人ともかなりの大物ですが、この映画では二人ともすごく若くて初々しい感じです。

家族に問題をかかえていたり、不倫していたりとストーリー的にはけっこう重いのに不思議と優しい映画です。(アメリカの田舎風景にも癒されます)観た後にしみじみとした気持ちになれます。

まとめ

今回は障害、病気をテーマにした本2冊、映画2本を紹介しました。こうした作品を通じて病気に対する理解が深まればとても良いことです。

もし周りにこうした障害や病気の人がいることがわかったら、できるかぎり配慮する努力をしていきましょう。

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