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2016/10/10

箱入り息子

あなたの周りには、恋人がいない歴=年齢なんて人はいませんか。今回紹介する映画はそんな2人を主人公にした物語です。

あらすじ
天雫(あまのしずく)健太郎(星野源)は市役所に務める35歳の独身男。内気な性格のせいか、今まで彼女がいた経験はなく、唯一の友達はペットのかえるだけ…。

目が見えない

そんな息子を見かねた父(平泉成)と母(森山良子)は親同士が婚活する代理お見合いに参加する。そこで今井夫妻(大杉連、黒木瞳)と出会い、その娘の奈穂子(夏帆)とお見合いするチャンスをつかんでくるのだが、当日直接会うとなにか様子がおかしい…奈穂子は目がまったく見えていなかったのだ…。

主演は今、話題の星野源さん

主人公の天雫健太郎を演じるのは歌手、俳優、文筆家として活躍する星野源さん。2012年に発表したシングル『夢の外へ』が話題になり、活躍の幅を広げますが同年の12月にくも膜下出血と診断され、一時活動中止に。

しかし翌年9月に手術成功を報告し活動を再開。その後、今回紹介する『箱入り息子の恋』や『地獄でなぜ悪い』、『聖☆お兄さん』での演技が評価され、第37回日本アカデミー賞、毎日映画コンクールなどで新人俳優賞を受賞しました。

2015年に発売した4thアルバム『YELLOW DANCER』で自身最高位のオリコンチャート1位を獲得し2016年にはCDショップ大賞を受賞するなど歌手としても大人気です。

またオールナイトニッポンのパーソナリティとしても活躍していて、自身のラジオでも彼女のいたことのないリスナーにはラジオネームの他に”チェリーネーム”をつけることにしたり、逆に彼氏のいたことのない女性リスナーのことは”ピーチ”と呼んだりと、恋愛未経験者のことをポジティブにとらえてるところが素敵ですね。

健太郎を演じるにあたっても、恋愛未経験なことを馬鹿にしたり、面白がったりするのではなく、そういう人たちだからこそ持ってる真面目さだったり真摯さが出るように意識したとインタビューで語っています。

子を思うそれぞれの愛情の形

子を想う親の愛

『箱入り息子の恋』というタイトル通り、この映画では恋愛当事者の健太郎、奈穂子だけではなく、お互いの両親の思いがかなり絡んできます。それによって物語が左右されていると考えてもいいです。

健太郎の両親(平泉成&森山良子)はわりとのほほんとした感じです。どうしてもお見合いをしたがらない健太郎に対し、父(平泉成)が「俺は明日までにこのゲームをクリアする。そしたらお前もお見合いに行け。」と宣言。

「え~!?何なんだよ!!めちゃくちゃだよ!!」と健太郎(星野源)が困惑するくだりは、すごく笑えます。(どうやってクリアしたのかは、ぜひ映画をご確認ください)

平泉成さんと森山良子さんの息がぴったりで、こんなお父さんとお母さんだったら楽しそうだなと思いました。

それに対し奈穂子の両親(大杉連&黒木瞳)はちょっと複雑な感じです。奈穂子の父(大杉連)は会社を経営するいわゆるエリートで、人を見るときにも学歴やどんな職業かを重視します。

なので市役所で真面目に勤務していながら、一度も昇進なしの健太郎に対して最初から「君のような人間に奈穂子は任せられない」とはっきり拒絶しています。

きっと悪い人ではないけども、奈穂子の将来を案ずるあまり、そういう選択になってしまうというところもあるんですね。一方、母親(黒木瞳)はエリートばかりを選ぶ夫に対し、奈穂子の思いを尊重し、健太郎の人柄も評価しています。

実際奈穂子と健太郎のデートを送り迎えしたり、この人がいなかったら二人の恋は始まりもしなかったかもしれません。

始終キュートな奈穂子さん(夏帆さん)

終始可愛い奈穂子さん(夏帆さん)

今回視覚障害者を演じた夏帆さん、今まではよりリアルな演技をするように努力していたそうですが、この映画ではリアルというより、“実際ではありえなくてもこの世界(映画の中)で成り立っていれば、いい。この世界観の中でお芝居しよう”と意識したそうです。

実際その通りで、この映画はリアルなところもありつつ、ファンタジーな表現も使われていたり観ていて不思議な感じのする映画です。(でもそれがとても心地よいです。)障害を扱う映画だと重くなりがちだと思うのですが、この映画ではそんなことはなくて、全編にわたって軽やかな空気が流れている気がします。

健太郎に内気であがり症なところがあるように、奈穂子の目が見えないのも、そんな悲しいことではないんだと観ていてそんな感じがしました。健太郎と奈穂子が初めて食事をするのが吉野家(牛丼)なんですが、やり取りが面白いです。

健太郎「奈穂子さん、紅ショウガ入れますか?」
奈穂子「はい(#^^#)」
健太郎「はい、僕、紅ショウガ入れます!」(奈穂子の牛丼に紅ショウガ投入)

などいちいちクスっと笑える部分がこの映画にはたくさんあります。(文章ではいまいち伝わらないので、ぜひ映画を見ていただきたいです。)

普段見慣れてる吉野家や立ち食いソバ屋ですが、視覚障害のある奈穂子にとっては初めて入るお店で、知らないことばかりです。(その証拠に奈穂子は初デートで初めて吉野家の“つゆだく”を知ったのでした。)

デートでも「健太郎さんのこと、もっと知りたいです・・・声や手の感触以上のこと・・・」など奈穂子がグイグイ引っ張るところがあって、観ててドキドキしまします。

ベタだけどいい!!

正直、ストーリー的にはとってもベタな映画だと思いました。でもそれが嫌ではないんです。なぜかというと、それでも十分に演技で俳優さんが楽しませてくれるからです。

一人ひとりの個性が際立っていて、掛け合いが絶妙です。ピュアな恋愛映画ですが笑いどころがたくさんあって、いい意味で予想を裏切られた感じでした。リアルでも何かに猪突猛進する姿って応援したくなると同時に、ちょっとだけ面白かったりしますよね。

全体としてとっても軽やかな映画なので友達や恋人と観るのもいいかもしれません。はたして箱入り息子は箱から、出られるのか?奈穂子との恋の行方は…

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